混沌の闇に誘われし旅人の手記

うちのこおんりィエエエエエエエエアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああアアアアアアアアアッハアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!?!??!!?

ゆめかうつつか

 足下に響く、ぴしゃりという小さな水音は、水たまりを踏んだ時のそれとよく似ている。けれど、ここは室内だから、雨が振り込むわけがない。ならばこの水たまりはなんだろう。
 窓もシャッターも半端に締め切られ、廃墟と化したショッピングモールはもはや牢獄のような居心地の悪い薄暗さを演出している。そして、細く差し込む外の光が映し出すのは、目眩がするほどの鮮やかな赤、あか、赤。
 むろん、これは床の色などではない。床を埋め尽くしていたのはその赤色だけではなく、横たわり、積み重ねられ、その色彩の暴力と化す勢いの鮮やかな海を垂れ流す、肢体。
 僕はもはや肩で息をしながら、全身が赤く濡れた感覚で、何度もぞわりと嫌な気分を感じながら、歩いていた。細く白い光は、手にした刀を鈍く反射する。滴り落ちる血を振り払いもせず、見るに堪えないその海を、水音を立て歩いていく。
 こんな夢を、最近は毎日見るようになったのだ。昔から変な夢ばかり見ていたが、こんな夢は、冗談では済まない。
 気味が悪いのは、この夢が日に日にリアルに、そして長く感じてくるということだ。いつもは、気付けばこの凄惨なショッピングモールの片隅に立っているだけだったのに、人を先ほど斬り殺したような疲労感と、手に、身体に何かが滴っている感覚で、もはや発狂してしまいそうなほどに気分が悪い。

 夢じゃないのかもしれない、今度こそ、僕は本当に人を____。
 そのとき、僕の腕に何かが絡みついた。
 腕だけ、じゃない。気を取られ、声も出せずに驚いている間に、足が、全身が何処かへ引っ張られそうになる。
 たすけて。
 そう言いたかった。けれど、一体誰が僕の事なんかを助けてくれるっていうんだろう。腕に握った刀を振り回して、その束縛から逃れようともがいた。
 でも、片脚のバランスを崩し、赤い水たまりに背中から倒れこんだ。生暖かい液体が、服に染み込んでいくのを感じた。
 倒れた衝撃でむせ返りそうになるが、それ以上に、僕の手足に絡みついてくる何かが、拘束を強めている。
 動けない。
 恐怖で死んでしまいそうになり、夢だということもとっくに忘れ、異様なほどのリアルな夢に溺れてしまった。